<1>世界に誇るべき「日本の大自然と農業、職人文化を体現する日本酒」
日本酒は「國酒」と呼ばれ、日本書紀や神話の時代から日本人の暮らしと共にありました。「米」という農産物を基盤に、地域ごとの自然の恵みである「水」と「微生物」の力のみを活かして造られてきた、極めてナチュラルで伝統的なお酒です。
和食文化とともに世界文化遺産に数えられる日本酒は、日本人にとって「魂」とも呼ぶべき存在です。
世界の酒類を見渡しても、蒸留酒の名品は数多くあれど、日本酒のように繊細かつ緻密で自然に寄り添った醸造酒は唯一無二といえるでしょう。
その背景には、日本の大自然だけでなく、長い歴史の中で育まれた世界に誇るべき、「緻密で繊細な職人文化」が息づいています。
江戸時代以来、日本酒がもっていた「職人文化」「ナチュラルな農業によるお酒」という価値観。代々の日本の職人たちは、地元の米と水のみを原料とし、自然界に生息する幾多の菌類を操って美しい酒を醸してきました。
<2>戦後、工業品として普及した日本酒と本来の姿
第二次対戦後、時代の要請もあり、日本酒は大量生産の工業的なアルコール飲料へと変化し、古来の日本酒のもつ「職人によるナチュラルな伝統工芸酒」としての価値が薄れてきています。
現在の日本酒市場では、販売のほとんどが安価な酒で占められ、輸出も拡大しているものの主に低価格帯のお酒が大部分を占めています。
現在の日本酒の消費量はピークであった70年代の約半分となっており、多くの日本人にとって日本酒は価値を感じにくい存在となってきたと言わざるを得ません。
これは、日本の大自然、農業、職人文化といったものを背景にした「國酒」が、本来の価値を十分に発揮できていないことを示しています。
一方、ワインは東京オリンピック後から本格的な輸入と消費が拡大し、ベーシックな価格帯はもちろん高価格帯への需要も年々拡大しています。
私たちは、日本の誇る食のプロフェッショナルの皆さまのお力添えを頂くことで、特別な付加価値をもつ日本酒を「日本固有の文化であり芸術」として国内外に発信していくことを使命と考えています。
<3>安価で高品質という既存の日本酒の美点はそのままに。
一方、付加価値の高いファイン日本酒の市場を創造する必要性
日本酒の魅力の一つは、同じ醸造酒であっても、ワインなどの果実酒が自然の果汁を発酵させれば良いという形と異なり、穀物の状態からデリケートなお酒に醸しあげるための醸造工程に膨大な手間暇と高度な技術を要するにもかかわらず、多くの人が安価に楽しめる「日常を彩る酒」であることです。
これは戦後の時代の要請もあって、日本人の技術者たちが「消費者に安価かつ高品質のお酒をお届けしたい」と、たゆまぬ努力と改善を徹底してきたことによって成し遂げられた、世界にも例をみない素晴らしい価値であります。
一方で、フランスやイタリアのワインが「ベーシックで安価なもの」から「付加価値の高い最高品質のもの」まで幅広く充実しているのに対して、日本酒の世界においては、「付加価値の高いお酒」の市場がまだ十分に確立されていない状態であると思います。
私たちは、日常酒としての日本酒の素晴らしさをリスペクトしつつ、「芸術品のごとき職人技による特別な付加価値をもつ日本酒」という新しい市場を創造する必要があると考えています。
そのためには、全く新しい創造が要求されるわけではありません。
「奈良・江戸時代から日本の伝統職人たちが、地元農家と共に作り上げていた本来の日本酒を取り戻すこと」、それを「長年伝統の哲学や技術のみならず、現代科学の知見も併せ持つ新時代の職人の技と哲学によって成し遂げること」が鍵であると考えます。
加えて、その価値を「本物の日本の職人芸をご理解下さる方々にお届けしてゆくこと」、「そのためのサイエンス」が求められることになると考えております。
<4>日本の農業、地方文化、そして日本文化の礎への貢献
米は、日本の大地と人々を結ぶ糧であり、神話の時代から日本文化と日本の魂の礎であり続けてきました。
しかし今、その田園は減少の一途をたどり、後継者は減り、未来へと受け継がれるべき風景と営みは失われつつあります。
一方で、古くからの葡萄栽培王国であるフランスでは、葡萄をそのまま食するのみではなく、「ワイン」という芸術性や文化をも包含する付加価値の高い飲料へと昇華させ、先進国ゆえの高い人件費や土地代という障害を乗り越え、農業大国としての誇りを守り続けています。フランスには、伝統的農業を守り、地方ごとの文化や景観を未来へと継ぐ力が宿っています。
翻って日本の米農業においても、米を食するのみではなく、日本の伝統職人芸による米の二次加工品「日本酒」に、日本古来の文化や芸術性をも含有させた高い付加価値をつけてゆくべきであると考えます。
それにより、地方の経済や雇用を守るのみならず、神話の時代以来の日本の文化や国民性の源となってきた米農業を守ることに繋がると信じています。
それは豊かな地方ごとの文化や歴史を守り、日本らしい美しい田園風景を守り、未来の子供たちに誇りと共に残していけることに繋がっていると信じています。
<5>飲食のトッププロの皆さまと共に、日本の未来の創造を
日本古来の哲学や技を使って造られる国内外で認められ、普遍化されていくことは、日本酒や日本文化の地位向上にとどまらず、日本の地方文化や経済を守り、日本人としての誇りをより感じられる世界を未来の子供たちに残してゆける一大事業であり、社会貢献であると私共は考えています。
蔵元の研鑽や流通業者の努力に加え、日本の食文化を牽引する飲食業界のトップ・プロの皆さまのお力添えが不可欠です。
私たちは「SAKE PASSION」を通じ、最高峰の職人が手造りする日本酒、その哲学や地域文化を研究・発信し、日本の消費者の皆さまはもちろん、世界の「本物を知る人々」に広める努力をして参ります。
日本が神話の時代から大切に育んできたお米と、それを育む豊かな自然の恵み、それを活かす伝統職人芸を守り抜く職人たち、それら全てを慈しみ守ってきた地域ごとの文化や歴史。
それらを融合した至高の日本酒を、トッププロの皆さまと共に高い付加価値を与えながら、国内外に発信してゆくことができましたら、我々の望外の幸せです。
